アニメ『全修。』が面白いっ‼
「全修」は、主人公「広瀬ナツ子」が、自身の敬愛する作品『滅びゆく物語』に転生し、物語を「全修(全面修正)」していくお話です。
2025年1月5日に初回が放送されるや、いきなり過去の名作アニメのオマージュをぶっ込む展開が話題になりました。

アニメ監督がアニメの世界に異世界転生するって話自体が、今までにない感じだよね



まるで魔法少女に変身するみたいに、作画シーンに突入する演出が僕は好きだな
ただ、「全修」は、放送回を重ねるごとに「思っていたのと違う」「つまらない」との評判が目立ち、失速した印象を受けます。
そこで、今回は『全修。』の世間一般の口コミ・レビューから評価の原因を探り、この作品の真の魅力に迫ってみたいと思います!
筆者自身の独自考察も最後に載せていますので、最後まで読んでいただければ嬉しいです。




『全修。』は期待外れ?つまらない・面白くないと評価される理由


『全修。』が世間で面白くない・つまらないと言われている感想&レビューをまとめると、以下の5点となります。
その5点の評価を、客観的な情報と自身の意見から、なるべくプラスな評価に転換できるよう「全修」してみました。
それでは、詳しく見ていきましょう!
【悪い理由➀】話や展開がワンパターンで期待外れだから
全修、展開がワンパターンでこれ以上面白くなるビジョンが見えないのと、単純に見るの面倒くさくなったので残念ながら視聴断念…💦
— エルマ (@beginer_0527) February 4, 2025
なんか期待はずれだったな…
『全修。』の展開が、毎回繰り返しでワンパターンだとの指摘がありました。
具体的に言うと、作品は1~6話まで、話の終盤でナツ子が変身(?)して活躍する展開となっています。


毎回アレンジを変えているとはいえ、全体の流れとしてみると、繰り返しに見える印象は、正直ありますね。
とはいえ、7話になると、話の流れがグッと変わるため、筆者としては7話以降の視聴がオススメ。
ネタバレになるため詳しくは言いませんが、これまでナツ子の活躍で幸福になった世界を、ナツ子自身が疑問を持ち始めます。
この7話の不穏さは、今までの平凡さ&ワンパターン展開があったからこそ、際立つといえます。
7話まで見るのは少し根気が必要ですが、ぜひ見てみてほしいと思います。
【悪い理由②】転生先の異世界の全容がわからないから
全修。行った異世界の世界観がよく分からない感じなのが面白くない原因なのかなって思うのだ
— protonのアライさん (@ARNKAAmo) February 11, 2025
なろう共通のナーロッパとは違うなんかのごちゃ混ぜワールドで全容が掴みづらいのだ
江戸時代とか分かりやすい世界にして欲しかったのだ
ナツ子が転生する異世界に関して、批判的なコメントが目立ちます。
たとえば、転生先の世界観が「よくわからない」「薄っぺらい」といった意見が挙がっています。
確かに世界観は、いわゆる「転生もの」でよく見られる中世ヨーロッパ的な作りになっており、ありきたり感は否めません。
ですが、この異世界自体が、約20年前に上映された『滅びゆく物語』の世界が舞台という点に、注意する必要があります。
つまり、この世界観は、わざと古臭い感じに作られているということ。
実際に、『全修。』の監督を務めた山崎みつえ氏のインタビューを見てみると、
[アニメイトタイムス:全修。スタッフ連載インタビュー]
(山崎みつえ監督)
「『全修。』は今風につくって『滅びゆく物語』はセル時代っぽく、古いけど好きなひとは好きなアニメでお願いしますとスタッフに発注しています」
引用元:アニメイトタイムズ『第1回』より
上記のように、世界観の指定は意図的なものであり、典型的な転生ものの世界を詰め込んだものであることがわかります。
しかも、アニメの中で『滅びゆく物語』は、世間的に「よくわからない」「駄作だ」と酷評された映画という設定です。
このような点から、『全修。』の異世界が、「よくわからない」「薄っぺらい」と感じるのは、ある意味当然だといえるでしょう。
ただ、そんな世界観の駄作映画を、主人公のナツ子は「わけのわからないところが好き」と作中で評価しています。
この『全修。』も、ナツ子と同じスタンスで見れるのではないでしょうか。
【悪い理由③】内輪ウケするネタで萎えてしまうから
食わず嫌いアニメ消化その4
— ash (@ashtarika999) February 10, 2025
全修。
タイトルからして内輪ネタの匂いがする
と思っていたらまんまだった
そのこだわり、なんの意味あんの?
とにかく髪がうざい
今日一番めんどくさかったアニメ
今日はもう終わり
『全修。』は、アニメ制作の内情を描いた内輪ウケ作品、といった見方をする意見があります。
たとえば、第2話でナツ子が、1話で「召喚」した作画キャラを再び使おうとすると、「バンクはだめだよ」とのツッコミが入ります。
また、同じ回で、ナツ子が「板野サーカス」と呼ばれる作画技法を駆使しますが、実際に本作の監修に、考案者の「板野一郎」氏が参加されています。
こうしたアニメ制作を知っている人だけに受けるような「内輪」感が、作品自体を楽しみたい人には、疎ましく感じるかもしれません。
ただ、この『全修。』は、アニメ制作者が主人公なので、専門用語や手法を描くのは、ある意味当然だという見方もできます。
もしそうであるなら、内輪受けを狙ったのではなく、アニメ制作者のリアルを追求した結果ということもできますね。
【悪い理由④】元ネタがわからないので面白さが半減するから
『全修。』B
— かふか (@haru_uraraka25) February 5, 2025
元ネタが一切分からないので面白さが半減。8割MAPPAの超作画で観てる。が、主人公が嫌いじゃないのと、どう着地するのかを見届けたい。
ひとつ、主人公の顔が美形過ぎて、二次元に迷い混んだ感が薄いのが残念。
先ほどの内輪受けにも通ずる理由ですが、『全修。』には、名作と呼ばれるアニメを連想させる場面が、随所に出てきます。
なので、その元ネタがわからないから楽しめないといった意見も多く見られました。
具体的に、今までの話数で、登場した元ネタを列挙してみると、
- 第1話:『風の谷のナウシカ』
- 第2話:『伝説巨神イデオン』『超時空要塞マクロス』
- 第3話:『タイガーマスク』
- 第4話:『うたの☆プリンスさまっ♪』
- 第5話:『セーラームーン』『スケバン刑事』『グレンラガン』『ドカベン』『ルパン三世』
- 第6話:『少女革命ウテナ』『名探偵コナン』
- 第7話:『アオイホノオ』
- 第8話:『機動戦士ガンダム』
- 第9話:なし(戦闘機→失敗)
- 第10話:なし
- 第11話:なし
- 第12話:『全修。』(気になる方はぜひ本編をどうぞ!)
といった作品が挙げられます。
また、登場人物の「ユニオ」がマキバオーに似ていたり、ナツ子の演出が『リング』の貞子だったりと、他の作品を髣髴させる要素も満載です。
ですが、これらの要素は、元ネタを知らなくても楽しめる要素ばかり。
実際に、海外の反応を見ても『全修。』の評価は高く、元ネタを知らないまま楽しんでいる人は多いです。
たとえば、アメリカの投稿型SNS「reddit」の口コミを見ても、高評価のコメントが目立ちます。
(参考:Zenshu – Episode 7 discussion|reddit)
以上を踏まえると、元ネタの知識の有無は、『全修。』の面白さに、大きく左右されないと考えられます。
【悪い理由⑤】主人公の「ナツ子」が好きになれないから
全修、話が進めば進むほどナツ子が嫌いになる。
— ねこぜ (@nekoze_0420) February 17, 2025
こんな感情移入できない主人公はなかなかないぞ
『全修。』主人公「広瀬ナツ子」が、「感情移入できない」「嫌い」といった口コミも少なからず見られました。
設定が「新人天才アニメ監督」というだけあって、傲慢で協調性のない性格が、苦手に感じる視聴者はいると考えられます。



最初から何でも出来て才能ありすぎる主人公っていうのも、共感できない原因かも…



恋愛感情がわからない以外は、ほぼ無双状態だからね
ですが、感情移入できない主人公が、挫折して(初恋が描けない)転落する(転生する)姿に、心を打たれる部分はあります。
それに、先の展開はまだわかりませんが、ナツ子には過酷な試練が待ち受けているように、筆者は感じます。
そうした試練に、傲慢な主人公がどのように立ち向かい、乗り越えるか(または乗り越えられないか)が、非常に気になるところ。
また、話数が進むにつれ、恋愛感情を理解していく風にも見えます。
主人公に共感できなくても、そのような楽しみ方があるではないでしょうか。
もし現実に、広瀬ナツ子のような人がいたら確実に嫌われますけどね。
『全修。』は見た方が良い!面白いと言える3つの高評価ポイント!
『全修。』は、賛否両論の意見があるものの、評価の高い口コミ・レビューも実際に多いです。
そんな高評価な部分を、筆者が厳選して3つに分けてみました。
【“全修。”が面白いと言える3つの良い理由】
それでは、詳しくご説明していきたいと思います。
【良い理由➀】原作のないオリジナル脚本だから
全修、よい……私はオリジナル脚本アニメが好きなんですよ
— ゆきえ🫶 (@ykeanmn) February 21, 2025
『全修。』は、原作となる漫画や物語はなく、完全にオリジナル作品。
オリジナル作品の一番の良さは、何と言ってもまっさらな気持ちで楽しめるところ。
何よりネタバレを食らわない点は、オリジナル作品の大きな魅力といえるでしょう。
実際に、ネタバレに関する調査で、関心のあるコンテンツのネタバレを好むかどうか尋ねたところ、
[関心が高いコンテンツを楽しむ前にネタバレを得ることを好みますか?]
- ネタバレを好まない:45%
- ネタバレを好む:16%
- どちらでもない:39%
好まない人が約半数を占めることがわかります。
また、オリジナル作品だと、ストーリー展開が予測できない面白さもあります。
視聴者の誰も先の話を知らないため、新鮮な気持ちで作品に向き合うことができますよね。
以上のように、原作のないオリジナル脚本である点が、『全修。』の面白さのひとつといえます。
【良い理由②】ギャグとシリアスのバランスが良いから
全修ギャグ寄りアニメだと思ってたけど結構キャラクターの葛藤とかその辺真面目に描写するな
— ハイファン (@kaiho517) February 11, 2025
『全修。』は、深刻さと笑いのバランスが非常に良いと感じられます。
たとえば、第6話で、敵であるヴォイドに初めて負けたナツ子が、仲間と深刻な話をする時に、思わずメメルンの表情をデッサンしてしまう場面があります。


仲間のメメルンが、一人で解決しようとするナツ子を諭す真面目な場面のはずなのに、ナツ子はメメルンの可愛さに筆を走らせます。
文章にするとやや強引なギャグに思えますが、映像で見ると、不自然に見えないところが、このアニメのすごいところ。
むしろ、ナツ子の性格が良く表されたシーンとして、印象に残ります。
こうしたシリアスとギャグの絶妙なバランスが、『全修。』の作品全体を支えているといえるでしょう。
【良い理由③】作画シーンのクオリティが高いから
全修。めっちゃおもしろい。作画シーンのクオリティめっちゃ高くておもしろいと思う
— るーまー (@iroshieaya) February 20, 2025
『全修。』の作画クオリティの高さも、作品の魅力を挙げる上で欠かせない要素のひとつ。
ヴォイドとの戦いもさることながら、筆者が好きなのは、主人公の変身BANK(毎回登場する変身シーン)。
実際に、変身バンクを担当したのは、呪術廻戦(第2期)等で作画監督を務めた石川佳代子さんなので、実力の高さがうかがえます。


上の画像は、石川さん自身の手による変身バンクの作画修正です。
第8話の変身シーンでは、話の流れに合わせて、素足になっている点など、こだわりの見えるのが良いですよね。


また、石川さんは『少女革命ウテナ』の監督でも知られる幾原邦彦さんの『さらざんまい』(2019)でも、総作画監督を担当されています。



山崎みつえ監督はウテナの演出をされた経験もあるし、『全修。』に幾原作品のテイストがあるのは、そんな関わりがあるからだね
こうした実力派の制作陣により、高いクオリティの作画が維持されている点が、『全修。』の魅力のひとつだといえます。
【独自考察】『全修。』に散りばめられた謎や展開を予想
ナツ子の「召喚」にはすでに伏線があった?
ナツ子が毎回、変身して「召喚」する作画は、アニメの世界では、ナツ子のアニメスタジオの過去作品と考えられます。
つまり、ナツ子が、すらすらと架空のキャラを描けるのは、以前に自身が観たり、制作に関わっていたから、という伏線があります。
実際に、スタジオの作品を見てみると、


各話で登場した「召喚」の元ネタポスターが、第1話ですでに貼られています。


第8話のガンダムネタの作品も、『移動戦士イクダス』(原案・監督:鶴山亀太郎)として既に登場しています。
また、ナツ子のスタジオではないですが、第7話のアニメ研究会の部室にも、『超時空要塞マクロス』や『宇宙戦艦ヤマト』のような作品があります。


なので、ナツ子がどんな作品を「召喚」するかは、ある程度予想できたといえます。
ただし、8話以降どのような元ネタが来るかは、筆者も想像がつきません。
これまで登場した作品の中から、違った手法やキャラを登場させるのか、あるいは、全く違う元ネタから登場するのか、気になりますね。
今後の展開が楽しみです。
鳥監督は「鶴山亀太郎」と判明【第8話】
第8話で、ナツ子の転生世界に登場する謎の鳥が、『滅びゆく物語』の監督「鶴山亀太郎」であることが判明。
確かに、髪型や顔の特徴が、鶴岡監督に酷似していましたね。


鳥監督は自身が死んだことを認識しており、「(死んだ結果)翼を得た」と作中で言っています。
しかも、ナツ子が変身に使う「タップ」は、鶴岡監督自身のものである事も判明。
ただし、「タップ」の声の主は、小学生のナツ子自身であることが11話で明らかになります。
そこで、筆者の独断ですが、ラストはどうなるのかについて、(勝手に)予想してみました。
- ルークの生死をめぐり、ナツ子と鶴岡監督が壮絶な作画バトルをする
- 鶴岡監督の予言通り、ルークの「終わり」が描かれる展開を、ナツ子が阻止する
- 別れを経験したナツ子は、今度は自分の監督作にルークを転生させ、ハッピーエンドを描く
上記のようなパターンがあると考えられます。
実際に合ってるかかどうかは、ぜひ12話を見てみてください。
いずれにせよ、最終的には、ナツ子が自身の監督作品『初恋。』を描けるかどうか、が大きな争点となります。
ナツ子が生きて戻れるのかも不明ですが、良い方向に落ち着くことを願いたいですね。
EDのルークはバッドエンドを示唆?
『全修。』本編を楽しく見た後、いつも気になるのは、あの不穏なエンディング。
まるで、ルークの救われないエンドを予知するかのようなエンディングですよね。
実際、第9話では、本来の『滅びゆく物語』のラストは、世界に絶望したルーク自身が、超空洞ヴォイドとなり世界を滅ぼすことが判明しました。


Souさんの楽曲も、『全修。』の世界観にとてもマッチしていて、それだけに余計切ない気持ちになってしまいます。
上の画像にある最後のシーンは、一人になったルークが、ひとつの輝く星に向けて、両手を伸ばすところ。
このシーンを見ると、やはりルークとナツ子の別れがあるのではないか、と予想してしまいます。
つまり、ルークの両手は、いなくなったナツ子に向けて、伸ばしているのではないかと。
勝手な予想で大変恐縮ですが、とにかく楽曲が素晴らしいのは確か。
配信などでスキップしている人は、ぜひぜひエンディング曲も聴いてほしいと思います!
『全修。』の作品全体における真の評価のまとめ
今回は、『全修。』の悪い評価を「全修」することで、作品の魅力を徹底的にご紹介いたしました!
『全修。』が、つまらないと言われる理由があるのは事実です。
主な要因として、アニメの裏話的なノリや、意表をつく異世界モノの展開に、ついていけないと感じる人が多いと考えられます。
ですが、アニメのウンチクや架空の異世界は、このアニメにとって、あまり重要な要素ではないと、個人的には思います。
それより、異世界であろうと、そこで全力でのたうちまわり、恋して、生きる者たちの姿が、いきいきと描かれている良作だといえます。
終了したあとも、『全修。』はきっと評価の高い作品となるでしょう。
読んでいただき、ありがとうございました!
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